DTMと音律とよもやま話
音源で音律変更
最近では音源に色々な音律がプリセットされている。こういう場合は、簡単に既存のMIDIファイルを使って音律の違いを体験できる。プリセットされていない場合でも、
などの方法でスケールチューンを変更できるものがある。SONAR付属のTTS-1の場合はNRPNで変更できるが、Truepianoは変更できない(たぶん)など、音源によって差がある。
ピッチベンドで純正律
音源がスケールチューンに対応していなくてもピッチベンドを使う方法がある。しかしこの場合は大変だ。C major scaleで主和音(CEG)を純正律で鳴らす場合を考えても、ドミソを鳴らすだけなのに3トラック必要になる。PBSを2半音にして、主音であるCに合わせてみる。12平均律に比べて3度が低く、5度が少し高いから、ドのトラックはそのまま、ミのトラックは-561、ソのトラックは+80にピッチベンドを設定。(Aを基準に考えるなら、C +15cent、E +1cent、G +17cent)。
16トラックある既存MIDIファイルをピッチベンドだけで純正律発音させようとしたら、16 * 12 = 192 トラック必要になるのでは。こういう場合、CALを使うなら次の手順だろう。
- 12音それぞれのピッチベンド変更値を指定
- 既存トラックの12音を12トラックに分割する
- 指定したピッチベンド値をトラック冒頭に挿入
できなくはないが、純正律で発音するためだけの192トラックがあるプロジェクトファイルなんて、さわりたくない。異名異音にもこだわったとすれば、192トラックでも済まない。・・・関係ないが、考えてみれば『異名異音』とはおかしな表現だ。
話は変わってCubase6
Cubase6からVSTがVer3.5となった。この規格では、トラックごとではなく、ノートごとにCCやピッチベンドを設定できるノートエクスプレッションという機能がついた。このVST3.5対応音源を利用すれば、前述の純正律でトラック分けはする必要がない。
そして、これとは別に単音のオーディオ素材からピッチとボリュームをMIDIパラメータとして抜き出せる機能が本体についたらしい(追記 Cubase5のVariAudio搭載時点でついていた)(これはもうかなり前からやっている人が多いから、ピッチ編集につづいてDAWの標準機能になりつつあるんだなという感じ)。ソロバイオリンのオーディオ素材からビブラートを抜き出してMIDIで鳴らす、ということがDAW単体で出来る。ただし、抜き出したパラメータでまともに鳴らすには人力補正が必要そう。そして実用レベルの精度かどうかは知らない。